Case4

『CLT』とのコラボレーション 〜北海道北見市〜


ヨーロッパを中心に普及が進んでいる新しい木質構造用部材・CLTを使った躯体に、外断熱外装材『DAN壁』を初めて採用した建物。高断熱化と高耐久な外装仕上げが同時にできる『DAN壁』とのコラボレーションはCLTの普及を加速させるきっかけにもなりそうです。

 CLTは「Cross Laminated Timber」の略語で、約20年前にヨーロッパで開発されました。国内では直交集成板と訳されています。ひき板(ラミナ)を繊維方向が直交するように何層も重ねて接着した90〜210mmの分厚い大判パネルで、持続可能な木質資源を活かせることに加え、強度、遮音性、耐火性などに優れるのも大きな特徴です。

 今回ご紹介するCLT建築物は、道産材を利用した住宅用構造材を生産・供給する(株)オホーツクウッドピアのセミナーハウスで、国内のCLT建築物としては5棟目。延床面積約140m2の2階建てで、使用したCLTは北海道産カラマツ材で作られており、カラマツ利用のCLT建築物は全国初となります。外壁に30㎜のラミナを5層重ねた150mm厚のCLTを用い、2階の床・天井は7層210mm厚のCLTを使用。室内は内装仕上げを省略してCLT現しとしており、電気配線や換気システムなどは室内に露出した状態となっています。

 CLTを使った木造建築物は、在来構法やツーバイフォー工法のような軸間(柱間)が存在しないので、断熱はパネルの室内側か屋外側で行うしかありませんが、室内側だとCLTの木の表情や温もりを活かすことができず、配管・配線が施工の妨げになるなど、CLTを使用するメリットが薄れてしまいます。そこで今回は外断熱で設計が行われ、高い耐久性・断熱性・意匠性を有し、軽量で躯体に負荷がかからない『DAN壁』の採用が決定。外壁CLTパネルの屋外側に100mm厚で施工を行いました。

 「DAN壁」の施工面積は224m2で、CLTパネルの上に透湿防水シートを張り、窓回りの雨仕舞いを行ってから、一般の住宅と同じようにビス・ワッシャーで固定しています。今回は100mm厚なので長さ135mmの断熱パネルビスを使用。この断熱パネルビスは、通常のコーススレッドビスよりもビス頭が大きいのですが、ワッシャーを改良していずれのビス頭の大きさにも対応可能としました。

 通常、木造建築物を外断熱で施工する場合、断熱材の下地作りなどに手間がかかり、外装材の荷重による垂れ下がり防止も課題となりますが、『DAN壁』であればインパクトドライバーを使いビス留めしていくだけなので、施工手間を大幅に軽減でき、軽量で通気層も省略できるので、垂れ下がってくる心配はまずありません。CLTパネルは木のかたまりで非常に固いため、ビスの留め付けには労力がかかりましたが、10日ほどで塗り壁仕上げまで終えることができました。
(『ダンネツ通信vol.88』より転載)